
「人の役に立つ仕事がしたい」「リハビリテーションの専門家として働きたい」と考えたとき、理学療法士という職業に興味を持つ方は多いのではないでしょうか。
しかし、いざ目指そうと思っても、具体的にどのような進路を選べばよいのか、資格取得までにどれくらいの期間や費用がかかるのか、不安に感じることも少なくありません。
理学療法士は、怪我や病気で身体に障害を抱えた人々の「基本的な動作能力」の回復を支援する重要な専門職です。
この記事では、理学療法士になるための具体的なステップや、自分に合った養成校の選び方、国家試験の実態について、客観的なデータに基づき詳細に解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたが今から何をすべきかが明確になり、夢に向かって迷いなく第一歩を踏み出せるようになるでしょう。
国家資格の取得が絶対条件となります

結論から申し上げますと、理学療法士になるには、国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けることが必須条件となります。
理学療法士は「理学療法士及び作業療法士法」に基づく国家資格であり、無資格で名乗って業務を行うことは法律で禁じられています。
具体的には、以下の手順を踏む必要があります。
- 高校を卒業する(または高卒認定試験に合格する)
- 文部科学大臣または厚生労働大臣が指定した養成校で3年以上学ぶ
- 理学療法士国家試験を受験し、合格する
- 免許申請を行い、理学療法士名簿に登録される
つまり、独学で勉強して試験だけを受けるといった方法は存在せず、必ず指定された教育機関(養成校)でのカリキュラムを修了しなければなりません。
このプロセスを経ることで、初めて医療の現場で「理学療法士」として働く資格を得ることができるのです。
なぜ養成校で3年以上学ぶ必要があるのか?

理学療法士になるには、なぜ最低でも3年間の教育課程が必要なのでしょうか。
その理由は、医療現場で求められる高度な専門知識と技術を習得するためであり、法律によって厳格に定められているからです。
法律に基づく受験資格の規定
理学療法士国家試験の受験資格は、法律によって明確に規定されています。
具体的には、高校卒業以上の学歴を有し、かつ指定された養成施設において3年以上理学療法士として必要な知識及び技能を修得した者でなければなりません。
この「3年以上」という期間は最短のケースであり、4年制の大学や専門学校を選ぶことも可能です。
養成校には以下の種類があります。
- 4年制大学
- 3年制短期大学
- 3年制専門学校
- 4年制専門学校
- 特別支援学校(視覚障害者が対象)
どの学校を選んでも国家試験の受験資格は得られますが、独学や通信講座のみで受験資格を得ることは不可能であると言えます。
これは、人の身体に直接触れて治療を行う医療職としての責任の重さを表していると言えるでしょう。
専門的なカリキュラムの構成
養成校で学ぶカリキュラムは、非常に多岐にわたります。
単に教科書を暗記するだけでなく、人体の構造や機能を深く理解し、それを実際の治療に応用する能力が求められるからです。
主な学習内容は以下のように分類できます。
- 基礎分野:人文科学、社会科学、自然科学、外国語など
- 専門基礎分野:解剖学、生理学、運動学、病理学、内科学、整形外科学など
- 専門分野:理学療法概論、理学療法評価学、物理療法学、運動療法学、日常生活活動学など
- 臨床実習:病院や施設での実地訓練
特に重要とされるのが、解剖学や生理学といった基礎医学です。
筋肉や骨の名前、神経の走行、身体が動く仕組みを完全に理解していなければ、効果的なリハビリテーションを提供することはできません。
また、最終学年で行われる臨床実習では、実際に患者様を担当し、評価から治療プログラムの立案までを経験します。
このように、座学と実技の両面から徹底的に専門性を高めるために、3年以上の期間が必要不可欠とされているのです。
国家試験の難易度と合格率
養成校を卒業(または卒業見込み)した後に待ち受けているのが、理学療法士国家試験です。
この試験は年に1回、例年2月下旬に行われます。
試験内容は以下の2つに大別されます。
- 一般問題:解剖学、生理学、運動学、病理学など(1問1点)
- 実地問題:具体的な症例を提示し、評価や治療法を問う応用問題(1問3点)
近年の合格率は約80%前後で推移しています。
「8割も受かるなら簡単なのでは?」と思われるかもしれませんが、これはあくまで「養成校で厳しいカリキュラムと試験を突破してきた学生」の中での合格率です。
学校内の卒業試験に合格できなければ国家試験を受験することすらできないケースも多いため、数字以上にしっかりとした対策と努力が必要な試験であると言えます。
合格基準は総得点の6割程度とされていますが、実地問題での足切りラインも存在するため、バランスの取れた学習が求められます。
自分に合ったルートを選ぶ具体例

理学療法士になるには養成校への入学が必須ですが、どの学校を選ぶかによって学びのスタイルや卒業後のキャリアが変わってきます。
ここでは、代表的な3つのルートについて、それぞれの特徴を具体的に解説します。
ルート1:4年制大学でじっくり学び研究視野も広げる
一つ目の具体例は、4年制大学へ進学するルートです。
このルートの最大の特徴は、時間をかけて深い教養と専門知識を身につけられる点にあります。
大学では、理学療法の専門科目に加えて、一般教養科目も充実しています。
また、卒業時には「学士」の学位が授与されるため、将来的に大学院へ進学し、研究職や教育職を目指すキャリアパスも描きやすくなります。
近年では、リハビリテーションの効果を科学的に検証する「根拠に基づいた医療(EBM)」が重視されており、研究能力を持つ理学療法士の需要も高まっています。
例えば、じっくりと時間をかけて学びたい方や、将来はチーム医療のリーダーや研究者として活躍したい方には、4年制大学での学びが適していると言えるでしょう。
ルート2:3年制専門学校で最短での就職を目指す
二つ目の具体例は、3年制の専門学校または短期大学へ進学するルートです。
このルートの特徴は、最短期間で国家資格を取得し、現場に出ることができる点です。
3年制のカリキュラムは非常に密度が濃く、1年次から専門科目の割合が高くなります。
夏休みなどの長期休暇が短縮され、実習や講義に充てられることも少なくありません。
しかし、4年制に比べて学費総額を抑えられる傾向にあり、1年早く社会に出て給与を得ることができるため、経済的なメリットは大きいと言えます。
具体的には、「少しでも早く現場で働きたい」「学費を抑えたい」と考えている方にとって、3年制養成校は非常に効率的な選択肢となります。
ただし、学習スピードが速いため、日々の予習復習を怠らない自己管理能力が求められます。
ルート3:社会人から夜間部のある学校で転身を図る
三つ目の具体例は、働きながら夜間部のある専門学校に通うルートです。
理学療法士を目指すのは高校生だけではありません。
一度社会に出た後に、「手に職をつけたい」「医療職に転職したい」と考える方も多くいます。
夜間部の多くは3年制または4年制で、平日の夕方(例:18時〜21時頃)と土曜日に授業が行われます。
昼間は理学療法助手として病院でアルバイトをしたり、全く別の仕事を続けたりしながら通学することが可能です。
クラスメートも年齢層が幅広く、社会経験豊富な人が多いため、モチベーションを維持しやすい環境と言えます。
例えば、現在の仕事を辞めずにキャリアチェンジを目指す場合、夜間部は現実的かつ有効な手段となるでしょう。
ただし、仕事と勉強の両立は体力的にハードであるため、強い意志と健康管理が必要です。
まとめ:まずは養成校選びから始めましょう
理学療法士になるには、国家資格の取得が不可欠であり、そのために指定された養成校で3年以上学ぶ必要があることを解説してきました。
今回の記事のポイントを整理します。
- 受験資格:高校卒業後、養成校で3年以上の課程を修了すること
- 養成校の種類:4年制大学、短期大学、専門学校(3年制・4年制)がある
- 学ぶ内容:解剖学などの基礎医学から、実践的な臨床実習まで多岐にわたる
- 国家試験:合格率は約80%だが、養成校での厳しい試験を突破する必要がある
どのルートを選んでも、取得できる「理学療法士」の資格自体に変わりはありません。
大切なのは、自分のライフスタイル、経済状況、そして将来どのような理学療法士になりたいかというビジョンに合わせて、最適な学習環境を選ぶことです。
理学療法士は、患者様の人生に寄り添い、「歩けるようになった」「家に帰れるようになった」という喜びを共有できる、非常にやりがいのある仕事です。
高齢化社会が進む日本において、その需要は今後も高まり続けるでしょう。
もしあなたが「人の支えになりたい」という熱い想いを持っているのであれば、ぜひ一歩踏み出し、養成校の資料請求やオープンキャンパスへの参加から始めてみてください。
あなたのその行動が、誰かの未来を明るく照らすきっかけになるはずです。